第一次世界大戦が始まる大正3年ごろの沼津町は、商業を中心とした町としてそろそろ限界となっていた。大正5年、名取商会は沼津に繭市場を開き、繭取り引きの地位を沼津町にもたらした。この名取商会の市場で決まる繭の値段は国内はもちろんのこと、アメリカの生糸業者からも注目されるほどであった。この市場との関係で日本屈指の機械製糸を誇る林組や山十組、東京麻糸、東京絹毛などの大工場がつぎつぎと建設され、軽工業部門に飛躍的な発展がみられた。工場の沼津進出の理由は、東京・横浜に近いこと、交通の条件がよいこと、繭取り引き市場があったこと、豊富な工業用水と工業用地があったことなどがあげられる。
沼津繭市場風景
沼津繭市場は大正から昭和にかけて隆盛を極めた。西伊豆方面の早場ものが出荷されてくるため、その取引値段は全国から注目された。場所は現在の市立図書館付近だった。
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