大瀬崎一帯は、百数十本のビャクシンにおおわれ、樹林を形成している。
ビャクシンの樹林としては日本の最北端で、イブキの品種であるビャクシンが自然発生のまま、このように群生している所は、全国的に見てもまれである。
樹齢千年以上と思われる老木も見られるこの樹林は、全国的に珍しいものとされ、昭和7年7月25日、国の天然記念物に指定されている。
また、大瀬崎、神池、ビャクシン樹林は「ぬまづの宝100選」にも選ばれている。
大瀬神社
大瀬神社は昔から式内社、引手力命神社と称されている社で、海の守護神だった。駿河湾沿岸の漁民達の崇敬と尊信を集めており、船を新造する時には、必ずこの神社に参詣し、海上の安全を祈念したと言われている。そのため毎年4月4日の祭日には、遠くは蒲原・由比・近くは静浦・内浦・西浦等多くの地区から、大漁旗で飾りたてた多数の船が集まって来る。また、この祭典の日は、各地の若い衆は緋の長襦袢を着て、ひょっとこの面を付け、頬かぶりをして、船の中で馬鹿踊りや笛と太鼓の馬鹿囃子を演ずるのが例となっている。
この芸能の起こりははっきりしないが、伝承では、口野の古老は「昭憲皇太后がこの踊りをご覧になったので、口野では『勇みおどり』と称した。」と言い、久連の古老は「自分達が若い頃始めた。」と言う。これらの古老の話から、明治20年代にはすでにこの種の踊りは行われていたと推定できる。
神池
大瀬神社境内の神池は、海から僅かな距離しかない所にありながら真水の池で、鮒・鯉・鯰などの淡水魚が生息しており、伊豆七不思議の一つになっている。
奉納漁船模型
船主が新造船を造る時に模型をつくり、海上安全と大漁を祈って神社に参拝した時に奉納したものである。明治25年の大火で社殿が焼失したため、現存するものはそれ以降の奉納品である。明治~昭和にわたる駿河湾の木造船と漁民の信仰を知る上での貴重な資料として、昭和56年10月に県指定文化財となっている。
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