国際かんがい排水委員会(ICID)は、10月6日(木曜日)にオーストラリア・アデレードで開催された第73回国際執行理事会において、ICID日本国内委員会が候補施設として申請した香貫用水を含む国内3施設を、世界かんがい施設遺産として登録することを決定しました。
香貫用水について
基礎情報
名称:香貫用水
使用開始年:1620年~1629年頃
かんがい面積:7ヘクタール
1620年以前まで、香貫(かぬき)地区の農業は降雨と溜池のみを水源としており、慢性的な水不足に悩まされていました。そこで、上香貫(かみかぬき)村に住んでいた植田内膳(うえだないぜん)は近隣を流れる狩野川(かのがわ)を取水口として用水路をつくる計画を立て、事業建設工事に取りかかりました。用水路は香貫山北側を東から西へ延び、矢崎鼻(やざきのはな)から上香貫へ延びる上堀(かんぼり)、下香貫(しもかぬき)へ延びる下堀(しもぼり)がつくられました。
工事においては、取水口に石堰を築いて水位を高めるとともに、砂土の用水路は水が染み込むのを防ぐため、地盤に炉灰を混ぜ合わせてつくるなど、困難が伴いましたが、引水に成功した結果、香貫地区には干ばつがなくなり、「香貫二千石」といわれた農業発展の礎となりました。
現在では地域の市街化に伴い、かんがい面積が減少している一方、大雨時等排水路としての地域防災の役割が強くなっており、暗渠化等の改修工事が進んだ結果、かつての面影は見られなくなりつつありますが、今日までの約390年の間、地域において脈々と引き継がれています。
- ※かんがいとは、河川や地下水等から水を引き、水田などに人工的に給水して農耕作を行うことです。
制度の概要
世界かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともにかんがい施設の適切な保全に資するため、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度です。
登録により、かんがい施設の持続的な活用・保全方法の蓄積、研究者・一般市民への研究機関の提供、かんがい施設の維持管理に関する意識向上に寄与するとともに、かんがい施設を核とした地域づくりに活用されることが期待されています。
10月6日オーストラリアで行われた授賞式の様子
11月10日 農林水産省 表敬訪問
11月10日 関東農政局 表敬訪問
11月15日 静岡県 表敬訪問
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