水道事業の現状と課題
水道事業の目的
水道事業は、沼津市及び清水町を給水区域とし、良質な水源を確保しつつ、安全・安心でおいしい水道水を皆様のもとへ安定的・継続的にお届けするため、水の管理及び水道施設等の整備などを推進しています。
給水の状況
現状
1 普及率と給水区域
令和5年度末の水道計画給水区域内における普及率は、99.7%で、沼津市及び清水町のほぼ全域に普及しており、新たな収入源となる大きな給水区域の拡大は見込めない状況にあります。
2 給水人口、給水戸数
令和5年度末時点の給水人口は、216,963人、給水戸数は、106,943戸です。
<給水人口>
グラフ1を見ると、年々減少傾向となっています。要因としては、人口減少によるものと考えられます。
さらに、グラフ2を見ると、全国的に人口減少傾向にあり、沼津市及び清水町においても、令和2年から令和12年までの10年間で約1万2千人減少し、その後も減少傾向は続く見込みとなることから、給水人口も減少する見込みです。
<給水戸数>
グラフ1を見ると、給水人口は、減少傾向に対し、給水戸数は、増加傾向となっています。要因としては、核家族化及び単身世帯の増加によるものと考えられます。
【グラフ1 給水人口と給水件数】
【グラフ2 沼津市及び清水町の人口推移】
3 有収水量、給水収益
グラフ3を見ると、令和5年度末の有収水量(水道料金を徴収する対象となった水量)は、約2,676万3千立方メートルで、減少傾向となっています。
これに伴い、給水収益(有収水量に基づく水道料金)は、約22億9,362万円で、年々減少傾向となっています。
要因としては、人口減少や節水意識の向上などが考えられます。
【グラフ3 有収水量と給水収益】
4 光熱水費(動力費含む)の推移
電気料金の急激な価格高騰により、令和4年度の支出額は過去10年で最大となりました。令和5年度は、国の激変緩和措置等により、前年度に比べ減少しましたが、これまでの水準より若干高めです。
【グラフ4 光熱水費(動力費を含む)の推移】
課題
公営企業である水道事業会計は、独立採算制で運営しており、経営に要する費用は水道をご利用の皆様からの水道料金(収入の約9割)で賄っています。
人口減少等に伴い、このまま給水収益が減少し続けると、水道事業会計の収入が減り、安全・安心で安定的・持続的に水道水を供給することができなくなるとともに、健全な経営もできなくなります。
水道施設の老朽化及び耐震化対策
現状
1 水道施設等の老朽化及び耐震化対策
本市の水道事業の施設整備は、昭和20年代からはじまり、昭和40年代以降の高度経済成長期に多くの整備を行っています。
水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)の一部は、既に法定耐用年数を経過している状況にあります。特に、水道管の経年化率(法定耐用年数を経過した管路延長を示す割合)は、令和5年度末において33.4%となっており、類似団体及び全国平均を上回っています。
現在は、管路の全体延長に対する管路更新率を年に1ポイントとする目標を掲げ、耐震化と合わせ更新事業を推進しています。
(※令和2年度における管路更新率の全国平均は、0.65ポイントです。)
今後も、事業の平準化を意識しながら、これまでと同様に継続的な更新を進めていく必要があります。
【グラフ5 管路経年化率】
また、水運用の要となる水道設備は、日々の点検や維持管理と併せ、設備機器の更新を進めてきました。
沼津市水道事業ビジョンにおける設備経年率の目標は、令和12年度までに約5%とする目標を掲げ、経年設備の点検結果や維持管理の状況を踏まえ、設備更新を実施しています。
2 今後の水道施設の整備
水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)の更新や耐震化は、これまでも「沼津市水道事業ビジョン」に基づき、計画的に進めてきました。
今後も、水道をご利用の皆様へ、安全・安心な水道水を安定的・持続的に供給するため、日常的な施設の運転や維持管理と合わせ、老朽化が進む水道施設についても、更新、耐震化に向けた計画的な整備を継続していきます。
水道施設
水道設備
【グラフ6 今後の主な建設改良工事等の見込額】
3 企業債の推移
老朽化した水道施設の更新や耐震化などにかかる費用を将来世代にも負担していただくため、企業債を活用しながら整備を進めています。
近年の物価高騰等により、建設改良工事等の支出額が大きくなっており、既往債の償還額に対し、借入額の方が多くなっているため、令和5年度末の企業債残高は約136億3,200万円と年々増加しています。
【グラフ7 企業債の借入額、償還額及び残高】
課題
安心・安全な水道水を安定的・持続的に供給するためには、水道施設(水道本管、水道設備など)の更新、耐震化を計画的に進めていく必要があります。
しかし、電気料金をはじめ、管路などの資材や労務単価などが上昇しており、今後、5年間の各年度で必要となる建設改良工事等の費用は約24億円【グラフ6】と、多額の費用が必要となります。また、その財源となる企業債【グラフ7】の借入額も多くなるため、企業債残高は、今後も増加傾向が続くことが見込まれ、将来世代への大きな負担となることが懸念されます。
令和5年度決算
1 決算の概要(特徴的な事項を記載しています。)
収益的収支(税抜)
収益的収支とは、水道事業における通常の経営活動にかかる収益と費用です。
- ※費用のうち、「その他」は、水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)を維持管理する経費、水道水を消毒するための薬品購入費、水道本管の漏水時の緊急工事費、材料費など、安心・安全な水を提供するための経常的に支出する経費です。
<収益的収支の概要>
- 給水収益は、一般家庭以外の水量が概ね横倍に推移しましたが、一般家庭については人口減少等により、引き続き水量が減少したため、全体では対前年度比約3,800万円(-1.6%)減少しました。
- 電気料金(動力費)は、国の激変緩和措置等により、対前年度比約5,300万円(-19.8%)減少となりました。
- これらにより、純利益は、約6,400万円の黒字を計上しましたが、対前年度比では約4,600万円(-41.9%)減少しました。
資本的収支(税込)
資本的収支とは、老朽化が進む水道施設の整備のほか、企業債の借入や、償還にかかる収入と支出です。
- ※資金不足額は、内部留保資金で補てんしました。
「内部留保資金」(「補てん財源」とも呼ばれます)とは、減価償却費など実際に現金の支出を伴わない費用などの「損益勘定留保資金」や、当年度純利益から積立てられた積立金などの利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことです。
公営企業会計において、資本的収支不足額に内部留保資金を充当することとなっています。
内部留保資金が不足してしまうと、水道施設の更新、耐震化ができなくなります。
<資本的収支の概要>
- 建設改良工事は、約18億1,773万円で、事業を精査しつつ計画的に整備を進め、水道事業ビジョンに示す目標は概ね達成できました。
- 工事の財源となる企業債は、借入額を抑制しましたが、償還額に比べると多く、企業債残高は、前年対比で約3億300万円増となりました。
- 内部留保資金は減少し、約22億6,500万円となりました。
施設の耐震化(原配水池)
送配水管等の更新
2 決算の内容
令和4年度決算
経営分析
本市の水道事業における経営指標を設定し、経年比較や類似団体との比較を行うことで、本市水道事業の経営分析を行いました。
- ※令和5年度の情報は、現在、作成中です。
(参考)
このページに関するお問い合わせ先
水道部水道総務課
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ファクス:055-931-8101
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