下水道事業の現状と課題
下水道事業の目的
下水道事業は、河川や海の水質保全や清潔で快適な住環境を維持するため、生活排水や事業活動等により生ずる排水の適正な処理を行う必要があり、下水道計画区域内において、下水道施設の整備等を推進しています。
下水道整備の状況
現状
1 下水道普及率
グラフ1を見ると、本市の下水道は、普及段階にあり、令和4年度末における下水道普及率は、62.4%で、全国平均の81.0%や静岡県平均の65.5%に比べ下回っています。
要因としては、本市の地形的な特性等により、処理場が多く、また、地下水位が高いといった地質的な特性などにより、他自治体と比べ、時間と費用を要しているためです。
快適な住環境の実現や水質保全のためにも、下水道の普及促進は重要であることから、今後も下水道の整備を着実に行っていく必要があります。
【グラフ1 全国平均・静岡県平均・沼津市の普及率の比較表】
2 水洗化人口及び水洗化件数
下水道を整備した区域内における、下水道へ接続した人口や世帯数の増加に努めています。(グラフ2参照)
<水洗化人口>
令和4年度末の水洗化人口は、103,370人で、令和2年度まで水洗化人口は年々増加していましたが、令和3年度以降は、水洗化人口が減少しています。
要因としては、新規接続に対し、人口減少が上回っているためです。
<水洗化件数>
令和4年度末における水洗化件数は、52,104件で、増加傾向となっています。
水洗化人口が減少する一方、水洗化件数が増加している要因としては、核家族化及び単身世帯の増加によるものと考えられます。
今後も、下水道に接続されていない皆様のご理解とご協力を得ながら、下水道未接続世帯の解消に努めていきます。
【グラフ2 水洗化人口及び水洗化件数】
【グラフ3 沼津市の人口推移(「沼津市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」人口の将来展望より)】
3 有収水量、下水道使用料
グラフ4を見ると、令和4年度末の有収水量(下水道使用料徴収の対象となった水量)は、約1,340万7千立方メートルで、減少傾向となっています。
これに伴い、令和4年度末の下水道使用料は、約17億7,314万2千円で、年々減少しています。
要因としては、下水道の普及拡大により水洗化人口の増加に努めているところですが、人口減少や節水意識の向上等によることが考えられます。
【グラフ4 有収水量及び下水道使用料収入】
(※下水道使用料は平成26年度及び令和元年度に改定を行っています。)
4 汚水処理費、下水道使用料、経費回収率の推移
下水道事業は、独立採算制の原則により、本来、経費回収率は100%以上であるべきですが、令和4年度決算において66.0%となっており、一般会計から補助金(支援)を受けています。
要因としては、本市の下水道が普及段階にあることや、有収水量が減少傾向にあることに加え、近年の物価高騰等により、汚水処理にかかる費用が増加傾向にあることなどが考えられます。
【グラフ5 汚水処理費、下水道使用料、経費回収率】
5 内部留保資金の推移
「内部留保資金」(「補てん財源」とも呼ばれます)とは、減価償却費など実際に現金の支出を伴わない費用などの「損益勘定留保資金」や、当年度純利益から積立てられた積立金などの利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことです。
公営企業会計において、資本的収支不足額に内部留保資金を充当することとなっています。
内部留保資金が不足してしまうと、処理場設備及び管路施設の整備や改築及び更新ができなくなります。
グラフ6を見ると、令和4年度末の内部留保資金は、約2億2,447万2千円で、施設整備にかかる建設改良費等の支出額が大きくなっているため、令和2年度以降は、年々減少しています。
【グラフ6 内部留保資金】
課題
- 下水道事業は、平成18年度から公営企業会計へ移行し、独立採算制で運営しています。
このため経営に要する費用は下水道使用者の皆様からの下水道使用料で賄うべきですが、本市の下水道は普及段階にあり、一般会計から補助金(支援)を受けています。
また、汚水処理費を下水道使用料でどの程度賄えているかを示す経費回収率は、令和4年度末において、66.0%であり、望ましい状況ではありません。 - 下水道の普及拡大により水洗化人口の増加に努めているところですが、人口減少等に伴い、下水道使用料の減少が続くと、下水道事業会計の収入が減り、快適な住環境の実現や水質保全することできなくなり、健全な経営もできなくなります。
処理場設備及び管路施設の老朽化、耐震化など
現状
1 処理場設備の経年化状況及び管路施設の老朽化状況
本市の下水道事業は、公共用水域の水質汚染問題を解決するため、昭和42年に着手して以来、整備区域を広げ、下水道の普及を促進してきました。
グラフ7を見ると、処理場設備の経年化設備率は、令和4年度末時点で40.68%です。
下水道管については、整備から法定耐用年数の50年が経過し、耐用年数を超えた管が少しずつ増加しているところであり、今後、計画的な更新が必要で、更新していく費用が増加していきます。
計画的に更新工事を行っていきます
【グラフ7 経年化設備率及び管路の老朽化率】
2 処理場設備及び管路施設の耐震化状況
グラフ8を見ると、処理場設備は、令和4年度末時点で約66.7%が耐震化されています。
また、管路施設やマンホール等の耐震化を進めており、令和4年度末時点の耐震化率は、市全体では約60.1%、重要な幹線等では約84.4%です。
【グラフ8 処理場施設と管路施設の耐震化率】
3 今後の処理場設備及び管路施設の整備
現在、本市の下水道は普及段階にあるため、今後も引き続き普及促進を図ります。
また、日常的な施設の運転や維持管理はもとより、突発的で重大な事故を未然に防ぐためにも、処理場設備及び管路施設の長寿命化・耐震化を計画的に進めていく必要があります。
下水道の耐震化工事を進めています
【グラフ9 今後の主な建設改良工事等の見込額】
4 光熱水費の推移
電気料金の急激な価格高騰により、令和4年度の支出額は、過去10年間で最大となりました。(対令和3年度 6,400万円増)
【グラフ10 光熱水費の推移】
課題
引き続き、下水道の普及促進を図りながら、処理場設備及び管路施設を更新するためには、今後5年間で必要となる建設改良工事費等が各年度に約17億円から25億円(グラフ9参照)と、多額の費用が必要となります。
また、令和3年度後半から施設を稼働するための電気料金が高騰したため、急激に両事業の経営が悪化し、今後の経営を維持することが非常に厳しい状況です。
令和4年度決算
1 決算の概要(特徴的な事項を記載しています。)
収益的収支(税抜)
収益的収支とは、下水道事業における通常の経営活動にかかる収益と費用です。
- ※費用のうち、「その他」は、下水道設備や管路施設を維持管理する経費、汚水をきれいにするための薬品購入費、下水道本管の緊急工事費、材料費などの経常的に支出する経費です。
<収益的収支の概要>
- 水洗化件数、水洗化率は増加するも、人口減少や節水機器の普及等により、下水道使用料は、対前年度比約2,200万円減少(-1.2%)しました。
- 電気料金(動力費)の増加に伴い、一般会計から基準内繰入を約3,700万円増額で受け、当年度純利益は、約2億4,800万円を計上しました。
- このうち、資本的収支の補てん財源として、当年度純利益から約1億7,300万円充当したため、積立金は約7,500万円となりました。
資本的収支(税込)
資本的収支とは、老朽化が進む処理場設備及び管路施設などの改築、及び企業債の借入や、償還にかかる収入と支出です。
- ※資金不足額は、内部留保資金で補てん等をしました。
<資本的収支の概要>
- 下水道普及率は、対前年度約1ポイント増を目指しましたが、本市の地質的な特性等から、地盤改良等に不測の経費が発生したことや、翌年度へ工事を繰越したことにより、62.4%(0.4ポイント増)に留まっています。
- 前年度からの繰越工事等により現金が不足し、一時的に他会計から借入をしました。
2 決算の内容
経営分析(経営比較分析表)について
本市の下水道事業における経営指標を設定し、経年比較や類似団体との比較を行うことで、本市下水道事業の経営分析を行いました。
- ※令和4年度の情報は、現在、作成中です。
(参考)
- 令和4年度沼津市下水道事業(公共下水道)経営比較分析表(PDF:168KB)
- 令和4年度沼津市下水道事業(特定環境保全公共下水道)経営比較分析表(PDF:164KB)
- 令和4年度沼津市下水道事業(漁業集落排水)経営比較分析表(PDF:166KB)
このページに関するお問い合わせ先
水道部水道総務課
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