御食堂全景
御食堂は大正末期には御座所にあり、その後はこの部屋が食堂として用いられました。広さは12.5畳で、4尺幅の折曲りになった畳敷きの縁側が謁見所部分へと続いています。
壁と襖は間似合紙(まにあいし)張りです。間似合紙は山に自生する雁皮という木の皮を砕いて煮詰め、名塩石(なじおいし)を泥状にすりつぶして加え、手で漉いたごく上等な和紙で、今では越中五箇山の伝統技法の一つともいわれています。
この紙は柔らかいけれど100年は保つというほど丈夫で、断熱、防虫、防湿効果にも優れています。西附属邸の他の部屋にもこの間似合紙は使われています。
障子は手漉き和紙を使用し、桟と桟の間に2~3ミリ程度の細い継ぎ目があるレンガ張りという方法で張ってあります。これは昔の手漉き和紙の寸法が30×45センチという小さなものだったため、紙の継ぎ方に工夫がこらされてデザインのポイントになっていたことによるもので、茶室などに多く使用される伝統的な継ぎ張りの方法です。
室内には大きな丸テーブルを中心に皮張りの肘掛椅子が2脚置かれ、壁ぎわにはサクラ材黒漆塗の給仕卓とホウの素木づくりの小戸棚が並んでいます。小戸棚は扉と側面のベタ一面に日光彫りで菊の薄肉彫刻が施されています。これは献上品と思われ、花瓶を置く台として使われていたようです。
シャンデリア
皮張りの肘掛椅子は木部はクルミで、背もたれの中央に御紋章が金箔で押してあります。
裏に「食椅其一二第一一号内匠寮」と書いたラベルが張ってあるので、宮中で食堂椅子として使われていたものを運んできたと思われます。
肘掛椅子
丸テーブル
丸テーブルは径120センチとかなり大きなものです。
主材はケンポナシで、明治時代の高級洋家具によく使われた材料です。
甲板は中心で一点に集まる放射状の寄木張りで、これは明治時代の職人が蜘蛛の巣張りと呼んでいた技法です。
幕板には彫刻がつき、脚は表面がらせん状に仕上げてあります。
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