沼津市の農業は、湿潤温暖な気候と地理的・地形的な特性を生かして、多彩な農産物を生産・提供しています。
市内の農地は、その地形的特徴から三分されます。北部の愛鷹山麓の裾野は丘陵地をなし、土質はローム層で茶園と畑作が中心となっています。中央部の平坦地は浮島沼の泥炭地及び狩野川の沖積地で水田が多く稲作が盛んです。南部の三浦地域は丘陵地帯で、安山岩土壌であり、古くからみかん栽培が行われています。
主な農産物
温州みかん
伊豆半島に位置する西浦、内浦、静浦の三浦地区では、穏やかな気候と山の斜面を利用して、温州みかんを中心とした柑橘類が生産されており、品種は「青島」及び「寿太郎」が中心となっています。特に寿太郎温州みかんは、沼津で生まれ育った純正沼津ブランドで、糖度も高く、濃い味わいで京浜方面を中心とした市場で高い評価を得ています。また、寿太郎温州みかんを素材として、缶詰やジャム、ワインなどが商品化されています。
茶
明治32年、江原素六翁の尽力により、愛鷹山御料地の払い下げを受けて以来、金岡、愛鷹、浮島地区の愛鷹山麓から続く丘陵地帯で、「やぶきた」品種を中心としたお茶の栽培が盛んに行われてきました。従来、他産地銘柄とのブレンドを中心に市場に出回っていましたが、昭和58年、平成8年、平成28年に3度にわたる「皇室献上茶」の栄誉を賜り、また各品評会においても好成績を収めるなど、着実に、独立した「沼津茶」としてのブランドの評価を高めています。
畜産
市内の畜産業は、金岡地区を中心に、酪農、肉牛、養豚が行われています。環境に優しい畜産業を目指し、畜舎の一斉防除や、家畜排泄物から生成する堆肥の耕作農家への利用促進を図っています。また、いくつかの肉牛生産農家が、統一された飼料給与により一定期間肥育し仕上げた高品質な銘柄牛「あしたか牛」は、肉質の柔らかさとまろやかな舌ざわりで人気を博しています。また、さらなる消費の拡大とブランド化を推進するため、地域のイベントへの出品、県内の限定されたレストランや精肉店への提供等を行っています。また、県内でいち早く、肉の生産履歴に関する情報を個々の商品に添付するトレーサビリティーシステムを確立し、消費者の求める「食の安全・安心」に応えています。
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