
作品名:「欄干会大壁画-6」
大きさ:タテ90センチメートル× ヨコ140センチメートル
版種:リトグラフ
受賞のコメント
この度、この賞をいただけたことに、驚きとともに大変な励ましと感動を受けております。
私自身の制作活動においては、版画技法や技術力などの具体的な問題を除けば、一番の難題は制作過程で湧き上がる不安です。手掛けていることに本当に価値があるのかと、無意識のうちに自問し、自分に疑念を抱くことがしばしばあります。こうした内面的な動揺が、制作を躊躇させたり、迷いを生じさせたり、時に自信を失わせることがあります。
そんな中、この展覧会で新人賞をいただけたことは、私にとって非常に前向きなフィードバックであり、大きな励みとなりました。これからの制作において、より一層果断に、そして自信を持って取り組める力を得ることができたと感じています。
このような素晴らしい賞をいただけたことは、誠に喜ばしいことであり、心から感謝申し上げます。
作品紹介
今回の受賞作品は「欄干会大壁画」シリーズの第六弾です。
筑波大学の武田一文先生が修士課程で述べた、 キリスト教美術における礼拝堂の壁画についてです。私はこれらの宗教美術作品の中に力を感じており、個人的にも力を持つ作品を制作したいと常に考えています。宗教美術において、私が特に気に入っている点は三つあります。【1】特定の中心がない平面的な構図、【2】複雑な模様と要素が伝える装飾的な役割、【3】膨大な労力を示す密集した特徴です。私もこれらの特徴を私の作品に取り入れたいと思っています。
そして、私はずっとリトグラフを制作しています。この「親油性と親水性」の中で、個人のコントロールによってバランスを保ち、自分が望む模様を形成することが好きです。私にとって、リトグラである化学的な制作方法は一種の「言語」のようなもので、それを通じて、現実に見たイメージを翻訳して、再構成することで、一つの新しいイメージを生み出しています。
「欄干会」という名前の由来はただ普通なことです。中国の高校時代、みんな毎日食堂で食事をするのですが、食堂はとても込んでいました。私の仲間たちは食堂で食べたくなくて、みんな運動場の端の欄干に座って食事をしていました。一年後、通りかかる人はいつも運動場の欄干に一列に座っている人々を見かけて、まるで集会を開いているように見えました。そこで、私たちの屋外で食事をするグループを 「欄干会」と冗談で呼んでいました。
その後、「欄干」の機能について別の考えも浮かびました。欄干は常に二つの異なる区域を分ける存在で、空間の境界線として機能します。リトグラフの水と油が反発する原理と同じように、私たちは常に親水性と親油性の間にバランスを模索して、イメージを作ることです。「欄干」はもしかしたら、中間や矛盾の分割点を象徴する意味を持つかもしれません。
今回の制作では、教会の壁画のスタイルを大いに参考にしてイメージを作成しました。作品の名前を考えるとき、真っ先に思い浮かんだのはかつてのそのグループでした。面白いアイデアとして、彼らのために一枚の壁画を作ってみて、物語を記録しようと思います。
王 敬昇(オウ ケイショウ)さん 茨城県つくば市在住