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沼津でやりたい100の事

オリンピックに向けてフェンシングで街を元気にさせたい

「フェンシング」と聞くと、サッカーや野球などに比べ縁遠いスポーツだと感じる方も多いのでは?
意外と知られていないものの、沼津はフェンシングを始める機会に恵まれた街なのだという。

フェンシングを市民にとってより身近なものにし、それを通じて沼津を元気にしようと尽力する人がいる。増田和正さんだ。

増田和正さん

増田さんは地域の銀行員として働く傍ら、静岡県フェンシング協会の理事、NPO法人沼津新鮮組の副理事長として、その普及に人生を捧げている。

沼津東高校の卒業生である増田さんは、部活動でフェンシングに出会い、その後は母校の外部コーチとして携わり続け、昨年からは自ら子ども向けのレッスンを開講。高校生の頃から26年の間フェンシングとともに歩み続けてきた。
現在は、沼津市を中心にフェンシングの普及と強化に関する活動を展開し、スポーツ振興、健康増進、地域の発展や活性化に寄与するべくさまざまな取り組みを行っている。

沼津におけるフェンシングの現状について、増田さんはこう語る。
「一般に浸透しているとは言い難いフェンシングという競技ですが、私自身は純粋に剣で戦うという格好良さにひかれて競技を始めました。現在、沼津市内には子どもたちがフェンシングを学べる場として、私のレッスンを含め3つの教室があります。また、沼津東高、沼津西高の2校がフェンシング部を擁しています。今はもう廃部になってしまったようですが、かつては沼津市立、飛龍高校にもありました。あまり知られていないのですが、実は沼津は県内の他の市と比べればフェンシングを始める環境に恵まれています。競技人口の増加を目指すにあたり大きな障がいとなっているのは、学生生活を終えた後フェンシングを続けられる場所が少なく、そこで競技をやめてしまう人が多いこと。その影響もあって指導者が不足しているため、次世代の育成が難しいという問題も。沼津でフェンシングを普及させるためには、子どもから大人まで切れ目なく楽しみ続けられる環境作りが必要不可欠だと感じています。」

自身が魅了されたフェンシング。その魅力をより多くの人へ伝え、沼津をフェンシング先進都市にするための活動は多岐に渡る。

フェンシングのレッスンに参加する子どもたち

まずは、フェンシングの未来を担う子どもたちの育成事業へ。

2017年の4月からスポーツジム「ボディデザイン・プランニング」のスタジオを借りレッスンを始めた。

当初は参加希望者がなかなか集まらず、増田さんが地道に身近な人たちへ声を掛け続けた。
2018年度に第2期をむかえ、レッスン生は4人から8人へと倍増した。

教室はのびのびとした楽しげな雰囲気ながら、挨拶などの礼儀作法を重んじている様子も伺える。

対象年齢は小学3年生~中学生までと幅広く、年齢の異なる子どもたちがフェンシングを通じて、兄弟のような関係を築き上げている。また、育成事業は自身のレッスンだけにとどまらず、優秀な高校生選手を育成するため自ら市内の高校へフェンシング部の創設を打診しているという。

世界を視野に入れた戦略として力を入れているのが、2020年に開催される東京オリンピック外国勢の事前合宿誘致。増田さんは静岡県フェンシング協会の代表として、沼津市へフェンシング競技のホストタウン登録を提言した。沼津が合宿地として選ばれることで、沼津=フェンシングのまちというイメージを印象づけ、いずれは国際大会の誘致にもつなげていきたいと増田さんは語る。

仲見世商店街でのフェンシングイベントの様子

「フェンシングは縁遠いもの」という認識を崩すべく、地元の人への発信も継続的に行っている。
2017年・2018年にはフェンシングフェスティバルin沼津を開催し、日本代表選手の招集、世界レベルの選手から指導を受けられる体験会など、興味を引く内容で競技の認知度アップに貢献した。

他にも地域のイベントでの試合パフォーマンスなどを通して、フェンシングをより身近なスポーツとして感じてもらえるよう、教え子や協力者とともに普及活動に励んでいる。

「現時点での大きな目標は、沼津から日本代表選手を生み出すこと、そして、東京オリンピック事前合宿の誘致を成功させること。長期的には、フェンシングを通じた交流人口の増加やいきいきとした暮らしの支援などにつなげ、沼津を中心とした静岡県東部エリアを元気にしたいと考えています。」

そう話す増田さんは、自身も今年で10回目となる国体出場を目指している。苦境にあった友人を元気づけたいという思いから、昨年13年ぶりに選手として剣を握った。そこには熱い思いを伝えるため、目指すべきものを自身の背中で見せる増田さんの姿がある。
迷ったら、前へ。信念に違うことなく、増田さんは自らの剣で、この沼津の地でフェンシングの未来を切り拓いていく。

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