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2017年6月1日更新

鉄道高架事業の必要性について

T.はじめに

 私は、昨年11月10日、市長に就任いたしました。
 就任後、まずは市民との対話集会を実施すべく、昨年12月12日に第2次都市計画マスタープラン説明会を、12月20日には「元気な沼津まちづくりトーク」を行いましたが、本年1月17日に体調を崩し入院いたしました。
 しかしながら、鉄道高架事業を中心とする沼津駅周辺総合整備事業については、入院期間中においても、昭和63年以降の沼津市議会の鉄道高架事業の推進に係る特別委員会の議事録など様々な資料に目を通し、経済界など様々な関係者からご意見を伺いながら、どうすべきかについて考えてまいりました。
 その結果、沼津駅周辺総合整備事業は「世界一元気な沼津」の実現に向けて極めて有効な事業であるとの認識に至り、平成29年2月の市議会定例会において、平成29年度施政方針の中でその旨を表明いたしました。

 ここでは、私がこのような経緯の中で沼津駅周辺総合整備事業を推進すべきと考えるに至った理由について説明いたします。

〈沼津市及び沼津駅周辺総合整備事業の歴史と市民の思い〉
 私は、この事業に大きく関わる沼津のまちの成り立ちと沼津駅周辺総合整備事業の歴史を把握することから始めました。
 鉄道開通前の沼津の市街地は、港や魚市場を拠点とした海上交通と旧東海道の結節点である狩野川下流域から発展しました。
 明治22年に東海道本線が開通すると、沼津駅は鉄道輸送の重要な拠点となり、機関区など駅周辺に広大な鉄道施設が建設され、駅南市街地には、陸上輸送、海上輸送の拠点というメリットを生かし商業などの様々な産業が集積しました。
 昭和40年代以降は、自動車交通の発達とともに、東名高速道路や国道1号バイパスなどが開通し、沼津の市街地は鉄道を越えて急激に北へと広がっていきました。
 そのため、鉄道が市街地を南北に分断することとなり、日常的な交通渋滞の要因となっているほか、中心市街地の発展にも大きな妨げとなっています。
 こうした課題解決に向け、昭和60年代から市長・市役所、市議会で本格的に検討を進める中、国鉄の分割民営化に伴う沼津駅の国鉄用地売却を契機に、鉄道の高架化と周辺の面的整備を一体的に行う沼津駅周辺総合整備事業が計画されました。
 この新たなまちづくりの実現に向け、自治会連合会や商工会議所など各界各層で構成される「沼津駅の高架化を実現する市民の会」が結成され、鉄道高架化について16万余の署名を携えて県知事ほかに陳情がなされています。
 その後も、鉄道高架事業は、多くの市民の熱意に支えられ、平成14年度に都市計画決定が行われ、平成18年度に国から事業認可を取得しました。

 一方、事業主体である県は、事業着手から一定の時間が経過したことから、社会情勢の変化を踏まえ、改めて事業の検証を行う「有識者会議」を平成22年度に設置しました。各分野の専門家や学識経験者等が様々な角度から検討を行い、その結果、事業の妥当性・必要性が確認されています。
 また、県は、平成23年度から関係者間の合意形成を図る「沼津高架PIプロジェクト」という取り組みも実施しました。このPIとは、関係する市民等に事業の情報を提供した上で、広く意見を聴き、合意形成を図る手法です。PIプロジェクトでの議論は、延べ約2,800人の市民の参加のもと、1年半にわたって行われ、平成25年11月に4つの推奨案候補が知事に提出されました。
 このような様々な事業検証を踏まえながら、県では関係者間の調整を進め、平成26年9月の県議会において、知事は現行計画どおり、「鉄道を高架化し、原地区に貨物駅を移転する」方針を示しました。

 このように、私は、これまでのプロジェクトの経緯をつぶさに知ることにより、本プロジェクトに関する官民挙げて鉄道高架化を切望してきた歴史と、沼津市民の結集した思いを改めて認識するとともに、県による検証を含めたプロジェクトの進捗状況についても理解いたしました。

U.沼津駅周辺総合整備事業とは

 「沼津駅周辺総合整備事業」は、「鉄道高架事業」、「土地区画整理事業」、「関連道路整備事業」、「駅北拠点開発事業」、「市街地再開発事業」の5つの事業からなり、鉄道の高架化だけでなく、複数の事業を一体的に実施する総合的なプロジェクトです。
 具体的には、鉄道を高架化するとともに、これと併せて車両基地や貨物駅を移転します。また、これら鉄道施設の移転により生まれる跡地を活用して、都市基盤整備や拠点施設整備を行います。

 これらの複数の事業を総合的、一体的に実施することにより、後に述べるように、鉄道で大きく分断されている沼津の都市構造を改善し、中心部から沼津全体を元気にするためのプロジェクトであると理解いたしました。

 以下、このような理解に至った理由について説明いたします。

V.鉄道高架事業の必要性

〈沼津市全体の視点〉
 沼津市は、東京などの大都市圏に近接し、東名高速道路及び新東名高速道路への広域交通アクセス性にも大変優れています。更には、富士・箱根・伊豆という国際的な観光地に囲まれ、美しい駿河湾や狩野川、港など豊かな地域資源にも恵まれています。
 このように、沼津市は本来、地方都市としては極めて高い地理的なアドバンテージを持っていると考えます。
 しかしながら、現在の沼津市は、鉄道が南北の市街地を分断しています。
 このため、鉄道の南北で発展に差が生じるなど、沼津市が本来有する高い立地ポテンシャルが、市全体として発揮しにくい都市構造になってしまっています。
 このような課題を解決し、沼津市が本来持つ強みを市全体の発展に繋げるためには、鉄道高架事業を核とする沼津駅周辺総合整備事業が必要であるとの考えに至りました。

〈中心市街地の視点〉
 駅周辺の地区にフォーカスすると、踏切や車両基地、貨物駅などの広大な鉄道施設によって駅南北の交通が阻害されています。沼津駅周辺は、いうまでもなく沼津市の中心市街地ですが、このような鉄道施設がまちの回遊性や拠点性の向上を図るうえで支障になっています。
 このようなことから、魅力ある中心市街地の再生のためにも、鉄道高架事業により、分断された南北市街地の一体化を図る必要があると考えました。

〈事業の効果〉
 このように、沼津市全体と中心市街地、それぞれの視点から見た課題を解決し、沼津市が本来持つ強みを市全体の発展に繋げるためには、沼津駅周辺総合整備事業を実施することが最も効果的であると判断いたしました。
 それでは、沼津駅周辺総合整備事業により、沼津駅の周辺はどのように変わるのでしょうか。
 まず、鉄道高架事業等の実施により、薄暗く危険な3箇所のガードは全て、4車線かつ両側に歩道を有する平らな幹線道路に生まれ変わるほか、13箇所の踏切についても、全て撤去されます。さらには、駅周辺の南北を結ぶ10本もの道路と通路が新たに整備されます。
 これにより、朝夕の渋滞解消をはじめ、駅南北の移動時間短縮や、安全性の向上といった様々な効果が期待できます。
また、日常の消防・救急活動等においては、緊急車両の迅速かつ円滑な通行を確保する必要がありますが、ガードや踏切における渋滞や踏切遮断、大雨による冠水等により、スムーズな通行に支障が生じています。
 鉄道高架事業等を実施すれば、緊急車両が迅速に通行でき、消防・救急活動などを円滑に行うことが可能になります。例えば、駅南から市立病院へ急病人等を搬送する場合には、搬送時間の短縮が見込まれます。
 さらに、車両基地や貨物駅の移転により、駅周辺の鉄道施設は大幅にスリム化されます。これによって南北の市街地がより近接し、一体化の効果が高まります。また、こうして生まれた広大な鉄道跡地について、公共利用や民間投資による活用を図ることで、まちの活性化の促進も期待できます。

〈費用対効果等〉
 事業効果を評価する一つの指標として、県が平成28年に算出した費用対効果(費用便益分析)によると、道路交通に着目した効果だけを見ても、費用便益比(B/C)は1.24となります。この値が1以上であれば、総便益(効果)が総費用より大きいことから、その事業は妥当なものと評価されます。
 また、工事が始まる際に期待される経済効果についても考えました。
 県が作成し公開している「公共経済波及効果分析表」(平成29年3月)を使用して算出すると、沼津駅周辺総合整備事業の残工事費(約950億円)に対する経済波及効果は約1,590億円が見込まれるなど、沼津市にとっても事業の実施による多面的な経済効果が期待できることを実感いたしました。

W.事業の進捗状況

〈現在の状況〉
 冒頭に述べたように、沼津駅周辺総合整備事業は、既に長い取り組みの歴史があります。鉄道高架事業についても、平成18年度に事業着手してから既に10余年が経過し、現在では、用地取得も約8割に達しています。
 このようなことから、私は、沼津駅周辺総合整備事業が、多くの地権者や関係機関のご理解、ご協力をいただきながら、沼津市の発展のために進められてきた事業であることを改めて理解いたしました。

〈中止の影響〉
 もし鉄道高架事業を中止した場合には、沼津駅周辺整備に関する全ての事業が中断し、まちづくりの機運が衰退する恐れがあります。また、これまでの用地取得費用約110億円が無駄になるほか、国・県への執行済み事業費約30億円の返還の可能性があるなど、今後の沼津市のまちづくりに多大な影響が及ぶことも分かりました。
 仮に、鉄道高架事業を中止して南北自由通路のみを設置するとした場合であっても、むしろ事業を実施するよりも時間がかかるだけでなく、様々な課題の解決につながらない状況が懸念されるのです。
 これら事業の中止に伴う影響なども検討した結果、沼津駅周辺総合整備事業は、引き続き進めていくべきとの考えに至りました。

X.沼津市の負担規模

 沼津駅周辺総合整備事業は、総事業費が1,996億円に達する大規模プロジェクトです。これは、沼津市の財政規模に照らして、適正なのでしょうか。

〈全体負担額〉
 まず、プロジェクト全体(1,996億円)のうち、平成28年度までに事業費ベースで約3分の1が既に完了し、残りの事業費は1,281億円になります。
 この残りの事業費から国・県等の負担分を除いた沼津市の負担分は、406億円となります。
 また、この沼津市負担分については、沼津駅周辺総合整備事業で整備される施設等が将来にわたって市民に利用されるため、地方財政法に基づく市債の活用が可能であり、その償還に対しては、9分の2が国から交付税として措置されます。(地方公共団体に対する国の地方交付税の総額は年間約16兆円)
 このような負担割合となっている結果、総事業費1,996億円のうち、平成29年度以降の沼津市の実質負担額は364億円となります。

〈1年あたりの全体負担額〉
 これを今後、工事期間(20年)と市債の償還期間(20年)を合わせた40年間で負担することとなるため、1年あたりの沼津市の平均実質負担額は、9.1億円となります。
 これに対して平成29年度の沼津駅周辺総合整備事業の沼津市負担額は約12億円、これから国の交付税措置分を除くと、実質負担額は約11億円となっています。

 沼津駅周辺総合整備事業の事業規模については、約2,000億円(1,996億円)という数字が、市の財政規模に対し過大であるとのご意見もありますが、以上のように、現時点における沼津市の実質負担額(約11億円)は、すでに今後40年の平均的な水準(9.1億円)を超えていること、また、それを負担する沼津市の財政力は、全国他市や三大都市圏を除く地方都市、連続立体交差事業を実施している他市との比較においても良い水準にあることから、沼津駅周辺総合整備事業は、沼津市の財政規模や財政力に照らしても、決して過大ではないと思うに至ったのです。

Y.今後の取り組み

 沼津駅周辺総合整備事業のうち、「駅北拠点開発事業」と「市街地再開発事業」は既に完了し、駅北にはプラサ ヴェルデ、駅南にはイーラdeが新たに整備されるなど、駅周辺の街並みにも変化が生まれてきています。
 また、残る事業についても、「鉄道高架事業」の用地取得が既に約8割に達しているなど、沼津駅周辺総合整備事業は全体として着実に進んでいます。
 今後は、現在実施している用地取得が完了すれば、いよいよ鉄道高架事業の工事が本格化します。工事期間は、概ね13年を見込んでいますが、高架工事完了までの間も、仮設の南北自由通路が供用されるほか、事業の進捗に伴って生まれる新たな土地は、公共利用や民間投資を誘発し、まちの活性化を促進するなど、事業効果が順次表れていきます。

 以上が、沼津駅周辺総合整備事業は「世界一元気な沼津」の実現に向けて極めて有効な事業であると、私が認識した理由です。

 沼津市は、北部に目を向ければ、東名・新東名などの広域交通網を有するほか、3年後には大型商業施設ららぽーとの開業も見込まれています。一方、南部には、集客力のある沼津港をはじめ、富士を望む変化に富んだ海岸線があり、これら美しい海を活かしたまちづくりに力を注ぎたいと考えています。
 しかし、これら様々な魅力を有する沼津のまちは、その核となる沼津駅を中心として、鉄道が南北を分断している状況にあります。
 私は、鉄道を高架化することにより、まちの南北を一体化した強い都市を形成し、沼津のまちが南北それぞれの強みを活かしながら発展していくことが「世界一元気な沼津」の実現のベースになると考えています。
 その実現に向けては、まちづくりの主役である皆様とともに、まちの将来イメージを描き、その情報を共有し、皆様と同じ目標に向かい一つになって進んでいくことが大切であります。

 これからの魅力あるまちづくりに、市民の皆様のご協力をお願いいたします。

資料編

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