大中寺は、臨済宗妙心寺派に属し、梅園で名高い。この寺の表門は、木造、瓦葺、入母屋造りの2層の楼門で、上層は鐘楼であり、山門と鐘楼を兼ねた形式である。寺記によれば、天保12年(1841年)に建立されたものといわれ、市内唯一の鐘楼門である。鐘は、10時と日没にそれぞれ2回突かれていた。特に夕暮れ時の鐘を入相の鐘と称し、当寺の日課とともにこの地の人々に時の鐘として親しまれている。
また、昭憲皇太后や皇孫殿下(後の昭和天皇)等の皇族方も親しくこの寺を訪れ、庭の佇まいを楽しまれたことが記録に詳しく残っている。その折に便殿として造られたのが今に残る恩香殿である。豊かな自然景観を生かした庭園の中に建つこの建物は、明治42年(1909年)建立のものである。皇族方が使用する特殊性があり、なおかつそこを訪れる人が景観に溶け込むことができるように心配りがなされている。
御用邸の建物と比較することができ、皇族と民間の交流を物語るということからも意義深い建物である。通玄橋とともに、平成12年に国の有形文化財として登録された。
なお、大中寺恩香殿と鐘楼門は、「ぬまづの宝100選」に選ばれている。
鐘楼門
恩香殿と通玄橋
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